バトン

もう4月が終わる。4月は誕生日がきて、ああ、また歳をとる、と思う。そして父のことも思い出す。ちょうど4年前の私の誕生日は父の告別式へとかわった。まるで父から母のことを頼む、とバトンを渡された気持ちだった。私たち姉妹は母のことを独りにすることはできない、というのが暗黙の了解だった。